Topics & Press 着床前診断ネットワークのお知らせ

名古屋市大の杉浦真弓、鈴森薫両氏のねつ造論文と日本産科婦人科学会の会告について

2017.06.18

名古屋市大の杉浦真弓氏(教授)と鈴森薫氏(元教授)はHuman Reproductionという雑誌の2005年、 20巻, 3267–3270ページに論文を発表して、均衡型相互転座を保因する不育症の方が着床前診断を受けた場合と受けない場合で、累積生児獲得率が殆ど違わないと論じています。着床前診断を受けた群の累積生児獲得率の母集団(25人)は「ESHRE Preimplantation Genetic Diagnosis Consortium: data collection III (May 2001) 」を引用しています。しかしながら、この論文には相互転座保因者で着床前診断を受けた患者総数は記載されていません。患者総数がわからなければ、患者一人あたりの累積生児獲得率を計算することは不可能なはずです。ところが杉浦氏はESHREの論文に記載されている相互転座で着床前診断を受けた患者のうち、不妊症患者のみの数(No. Infertile)を患者総数とすり替えて累積生児獲得率と称する数字を計算しています。私はESHREのデータ収集に協力したことがあり、その時のデータ入力票にはInfertility (no ability to conceive without IVF) 「不妊症(体外受精以外で妊娠する能力が無い)」と明記されています。実際には相互転座保因者で着床前診断を受けた患者はさらに多く存在し(25人以上存在する)、25人は患者総数では無く、累積生児獲得率を計算する事は出来ない数字ですから、計算結果も意味の無い数字になります。なお、杉浦氏らは2015年に別の論文を書き(Ikuma S et al. PLoS One.  2015 Jun 17;10(6): e0129958 .10. 1371 /journal. pone. 0129958)再度、着床前診断を受けた群と受けない群で累積生児獲得率に差が無い(67.6% と65.4%)としておりますが、この論文で杉浦らは転座保因者で着床前診断を受けた者の総数を記載すると共に、不妊患者数(Infertility)も明記しており、2005年のESHREの論文のNo. Infertileは患者総数では無くて、着床前診断を受けた患者のうち、不妊症であった者の数の記載であった事を十分理解していたと推察されます。 なお、大谷レディスクリニックで同年齢の相互転座保因者の群に着床前診断を行ったデータでは、累積生児獲得率は86.2%となり、大谷レディスクリニックでの着床前診断で累積生児獲得率が上がることは明白です。

杉浦氏らの2005年の論文に話を戻すと、自然妊娠の累積生児獲得率については、流産を繰り返す患者を治療と称して観察し、その一部が継続通院されて妊娠が確認できた47人のうち、32人がようやく出産できたというもので、分母を妊娠した者だけに限って恣意的に少なくしており、こうした操作を加えれば累積生児獲得率の見かけの数字は上がります。分母自体が非常識で非科学的な収集の結果です。意味のない数字どうしを比較しても全く意味のないデータになるのは自明ですが、このような事情を捨象したうえで比較検討し、そのうえで杉浦真弓氏は同論文を投稿しています。このような杉浦真弓氏の行為は着床前診断に医学的根拠がない結論を導きたいがための恣意的なデータ操作であると言えるでしょう。

どうして、このようなねつ造論文を書いたのかは推測するしかありませんが、当時、均衡型相互転座を保因した習慣流産の患者様が日本産科婦人科学会を相手に損害賠償訴訟を起こしており、着床前診断の優位性を否定する必要があったのが一因だと思われます(この訴訟では損害賠償は認められませんでしたが、着床前診断を受けることに何らの法的問題は無いことが最高裁で確定した判決で明らかになっています)。しかしながら、当時、日本産科婦人科学会は転座保因者の着床前診断を「臨床研究」として実施することも予定しており、このためには着床前診断が自然妊娠に劣るという結論も好ましくなかったと思われます。 実際の所、日本産科婦人科学会は平成18年に転座を保因する習慣流産患者にも「臨床研究」と称して着床前診断が受けられるよう会告を修正いたしておりますが、その会告には上記、ねつ造論文を根拠としたことが明記されています。その際に同学会のウエブサイトに掲載された「着床前診断に関する見解についてと」いうPDFファイルは上記捏造論文の共著者である鈴森薫氏が作成者であるとプロファイルに記されております。

現在、日本産婦人科学会はPGSの特別臨床研究を実施しようとしておりますが、このようなデータ操作を恣意的に行う杉浦真弓氏が主体的に参加している研究は、再びデータをねつ造または改竄して日本産科婦人科学会の主張に沿う結論を導く恐れが高く、全く信用することができず、ひいては誤った結論により社会を混乱させることになりかねません

また、鈴森薫氏は転座等が原因で習慣流産に悩む患者様に集まって頂いて「着床前診断を推進する会」を開催した際に全く虚偽の発言をして私の名誉を棄損しようと致しました。鈴森氏は日本産科婦人科学会の倫理委員を務めていたのですが、このようなマスメディアの皆様もいらっしゃる公開の場で真っ赤な嘘をつく人間に倫理を語る資格があるとは全く思えません。このように人前で嘘をつくことが平気な人物が書いたねつ造論文に依拠して、その本人が作成に深く関与した日本産科婦人科学会の着床前診断に関する会告に倫理的、法的正当性が無い事は明白です。

なお、鈴森薫氏が退官後立ち上げた会社は、血液でダウン症などを調べる新型出生前診断や、SNPアレイという方法での着床前診断を取り扱っている米国ナテラ社と提携しています。

着床前診断を推進する会での日本産科婦人科学会倫理委員、名古屋大市立大学教授、鈴森薫氏の虚偽発言(背景に聞こえる声)